家族の記録を動画で残すようになった理由【シリーズ第6回】

50歳からの挑戦

なぜ家族の記録を動画で残すようになったか

自分が動画編集を始めたきっかけは、誰かから仕事を頼まれたからでも、副業をしたかったからでもありません。ただ、自分の身近な家族との時間を、もう少し丁寧に残しておきたいと思ったのが始まりでした。

気づけば50代になり、親の世代はだんだんと年を重ね、子ども世代はそれぞれの生活を歩み始めていきます。一緒に過ごせる時間は、若い頃よりも明らかに限られてきている。そのことを意識し始めたとき、「今のうちに、何か形に残しておきたい」という気持ちが強くなっていきました。

最初は、スマホで撮った短い動画を、簡単なアプリでつなぐ程度のものでした。それが思いのほか楽しくて、「次はこんな場面も撮っておこう」と、少しずつ動画を撮ること自体が習慣になっていきました。

写真だけでは足りないと感じた瞬間

もちろん、写真にも良さがあります。1枚の写真が、そのときの空気や感情を一瞬でよみがえらせてくれることもあります。

それでも、自分の中で「動画も残しておきたい」と思うようになったのは、家族との時間の中で、「この空気は、写真だけではうまく切り取れないな」と感じる瞬間が増えたからです。

たとえば、食卓を囲んで何気なく交わしている会話や、誰かがふと笑い出したときの間(ま)。外出先で、何かハプニングが起きたときのバタバタした様子。「あのとき、こんなふうに笑っていたな」「こんな声だったな」という部分は、動画で見ると、より生き生きと伝わってきます。

中年以降になると、「この先ずっと続く時間」よりも、「あと何回こういう日があるだろう」という感覚の方が、少しずつ大きくなっていきます。そのときに、静止画だけでなく、少しだけ動きや声の残った記録があると、自分にとっても家族にとっても、心の支えになる場面があるのではないかと感じています。

家族に見せるためだけの編集という距離感

2772476_s 家族の記録を動画で残すようになった理由【シリーズ第6回】

自分の動画編集は、基本的に「家族に見せるためだけのもの」です。SNSに公開するわけでもなく、登録者数や再生回数を気にする必要もありません。

1本3〜5分くらいの短い動画を、月に1〜2本作る。できあがったら、家族にだけ共有して、一緒に見て、「このとき、こんなこと話してたね」と笑い合う。それくらいの距離感が、自分にはちょうどいいと感じています。

編集のレベルも、決してプロのようなものではありません。過度なエフェクトや派手な演出ではなく、

  • 伝えたい場面をつなぐ
  • 音量を整える
  • 必要なら一言二言だけテロップを入れる

といった、シンプルなものです。

それでも、何も編集せずに撮りっぱなしの動画を並べるよりも、「誰かに見てもらう」ことを意識した編集を少し加えるだけで、見やすさはぐっと変わります。その小さな工夫の積み重ねが、自分にとっての動画編集の楽しさになっています。

空き家管理との共通点と違い

空き家管理の中でやろうとしている映像と、家族の記録として作っている動画には、共通点もあれば、違う点もあります。

共通しているのは、「今、この瞬間の状態を、そのまま残しておきたい」という気持ちです。空き家であれば、建物の状態や季節ごとの変化。家族であれば、そのときの表情や声、空気感。どちらも、「時間が経ってから振り返ったときに、何かの支えになる記録」を残しておきたいという思いがあります。

一方で、違う点は、「誰のために作っているか」です。空き家管理の映像は、家の持ち主の方に現状を知ってもらい、安心や判断材料を提供するためのものです。家族の記録の動画は、自分自身や身近な家族が、後から見てささやかに笑えるためのものです。

前者は「仕事の一部」としての映像、後者は「完全に趣味」としての映像。同じ動画編集でも、この二つは自分の中ではしっかりと分けて考えています。

おわりに ― 同じ世代の誰かへ

40代、50代になってから動画編集を始める人は、決して少なくありません。むしろ、仕事や子育てが一段落して、「今まで撮ってきた家族の写真や動画を、ちゃんと形にしておきたい」と感じる世代だからこそ、動画編集がしっくりくるという話もあります。

自分もその一人として、空き家管理という仕事の傍らで、家族の記録を動画で残し続けています。それが直接お金になるわけではなくても、「自分にとって大事なものをきちんと残しておく」という意味では、空き家管理ともどこかでつながっている気がしています。

この連載を読んでいる中で、「撮りためた家族の動画がスマホの中に眠っている」という方がいたら、一度、ほんの数分でいいので、それを1本の動画としてまとめてみるのもいいかもしれません。完璧でなくて構わないので、「いまの等身大の記録」を、少しだけ形にして残しておく。その小さな一歩が、後から振り返ったときに、思った以上の支えになることもあると思います。

家族の記録を動画で残すQ&A

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Q1. なぜ写真だけでなく、動画として家族の時間を残そうと思ったのですか?

A. 写真には、一瞬の表情や景色を美しく切り取る力があります。ただ、年齢を重ねるにつれ、「あのときどんな声で笑っていたか」「どんな空気が流れていたか」という、時間の流れごと残したい気持ちが少しずつ強くなっていきました。食卓での会話や何気ないやりとり、外出先のハプニングのような瞬間は、静止画だけではどうしても取りこぼしてしまう部分があります。限られた一緒の時間を思うようになった今、「いつか振り返ったときに、その場の温度ごとよみがえる記録があったら心強い」という思いが、動画という形につながっていきました。

Q2. 動画編集は難しそうですが、最初はどのように始めたのですか?

A. はじめから「動画編集をしっかり学ぼう」と構えたわけではなく、スマホで撮った短い動画を、簡単なアプリでつなげてみるところからのスタートでした。凝った演出もせず、ただ並べてみるだけでも、その日一日の流れがまとまって見えることに、思いのほか楽しさを感じました。「せっかく撮ったのだから、少しだけ形にしてみよう」という感覚で試しているうちに、「次はこんな場面も撮っておこう」と、撮影と編集の両方が自然と生活の一部になっていきました。気づけば「難しいことをしている」というより、「日々の記録を少し丁寧に扱っている」という感覚に変わっていたように思います。

Q3. どんな場面を動画として残しておくことが多いですか?

A. 意外かもしれませんが、誕生日や旅行といった「特別な日」以上に、何でもない日常のワンシーンを残すことが多いです。たとえば、家族で食卓を囲んでいるときの会話や、誰かがふと笑い出した瞬間、台所での何気ないやりとりなどです。外出先でちょっとしたハプニングが起きたときのバタバタした感じも、あとから見ると、その家族らしさがにじみ出てきます。撮っているときには「ただの一日」に見える場面でも、時間が経ってから見返すと「あの頃はこんな雰囲気だったな」と、その時期ならではの空気や距離感が浮かび上がってきて、ささやかな宝物のように感じられることが少なくありません。

Q4. 家族だけが見る動画というスタイルに、どんな良さを感じていますか?

A. 「家族にだけ見せる動画」という前提があることで、評価や数字を意識せずにいられる気楽さがあります。SNSに公開するわけではないので、見栄えの良いシーンを狙う必要もなく、その家庭ごとのペースや雰囲気のまま記録しておけます。完成した動画を一緒に見ながら、「このときこんなこと話してたね」と笑い合う時間そのものが、小さな団らんになっていく感覚があります。映像のクオリティよりも、そこから生まれる会話や安心感の方が大事に感じられる距離感でいられるのは、「家族のためだけに作る」というスタイルならではの心地よさかもしれません。

Q5. 編集はどの程度まで手をかけていますか?プロ並みに仕上げる必要はありますか?

A. 自分の場合、編集はかなりシンプルで、「伝えたい場面をつなぐ」「音量を整える」「必要なところだけテロップを添える」程度に留めています。華やかなエフェクトや凝った演出はほとんど使いませんが、それでも撮りっぱなしの映像をそのまま並べるのとは、見やすさが大きく違ってきます。家族がストレスなく最後まで見られるように、ほんの少し気を配るだけで十分だと感じています。プロの作品のような完成度を目指すよりも、「その家族の目線で、無理なく見返せるかどうか」を基準に考えたほうが、自分にとってもしっくりくる形になっていきました。

Q6. 続けているうちに、自分自身の気持ちや家族との向き合い方に変化はありましたか?

A. 動画を撮るようになってから、日常の中の小さな出来事に目が向きやすくなったと感じています。「これも残しておきたいな」と思う瞬間が増えると、当たり前だと思っていた風景にも、どこかありがたさのようなものを感じます。また、あとから映像を見返したときに、「あの頃はこういう空気だったんだな」と冷静に眺められることで、当時は気づいていなかった家族の表情や言葉にも目がいきます。結果として、今の時間を少し丁寧に扱いたいという気持ちが自然と育っていき、家族との距離感も穏やかに整っていくような感覚がありました。

Q7. 空き家管理の仕事で扱う映像と、家族の動画とのあいだに共通点はありますか?

A. 両方に共通しているのは、「今、この瞬間の状態をそのまま残しておきたい」という思いです。空き家の映像であれば、建物の現在の状況や、季節ごとの変化を記録することが、所有者の安心材料になります。家族の動画であれば、その時々の表情や声、場の空気を残しておくことで、数年後に振り返ったときの心の支えになるかもしれません。対象は違っても、「時間が経ってから振り返ったときに役立つ記録を残したい」という願いが、どちらの映像の根っこにも流れていると感じています。その意味では、仕事と趣味が、別の形で同じ方向を向いているような不思議なつながりもあります。

Q8. 逆に、空き家管理の映像と家族の動画で、はっきりと違うと感じている点は何ですか?

A. 一番大きな違いは、「誰のために作っているか」という目的の部分です。空き家管理の映像は、家の持ち主に現状を正しく伝え、安心や判断材料を提供するための、いわば仕事の一部としての記録です。できるだけ客観的に、分かりやすく情報を届けることが求められます。一方で家族の動画は、自分自身や身近な家族が、後から見てそっと笑えたり、少し心があたたまったりするための、完全にプライベートな記録です。同じ「動画編集」でも、前者は実務的な役割、後者は感情や思い出に寄り添う役割というように、自分の中でははっきりと分けて考えることで、どちらにも素直に向き合えるようになっています。

Q9. 50代になってから動画編集を始めることに、ためらいや不安はありませんでしたか?

A. 年齢のことを考えなかったと言えば嘘になりますが、「今だからこそしっくりくる」という感覚のほうが大きかったように思います。若い頃よりも、親や子どもとの時間が限られてきていることを実感し始めるのが、40代・50代という世代かもしれません。そのタイミングで、「撮りためた写真や動画をきちんと形にしておきたい」と思うのは、ごく自然な流れにも感じられました。新しいことを学ぶというより、「これまでの時間を少し丁寧に振り返って並べていく」という感覚で向き合うと、年齢はハードルというより、むしろ味わいにつながっていく部分もあるように思います。

Q10. 忙しい日々のなかで、動画を撮ったり編集したりする時間はどのように確保していますか?

A. 特別に「撮影の日」「編集の日」を作るというよりも、日常の流れの中で無理のない範囲で取り組んでいる感覚です。撮影は、何かのついでに数十秒だけスマホを向ける程度のことが多く、それが積み重なると一本分の素材になっていきます。編集も、月に1〜2本、3〜5分程度の短い動画を目安にしているので、「空いた時間に少しだけ触る」というリズムで続いています。完璧を目指さず、「できた分だけ残せればいい」と考えることで、義務感に追われることなく、気づけば続いていたという形になっているように感じます。

Q11. スマホの中に撮りためた家族の動画がたくさんあるのですが、そのままにしておくのはもったいないでしょうか?

A. スマホの中に眠っている動画も、それだけで大切な記録であることには変わりありません。ただ、短いクリップをいくつかまとめて一本の流れにしてみると、不思議とその時期の空気や自分たちの暮らしぶりが、より立体的に見えてきます。「整理しなければ」と力を入れる必要はなく、数分程度でかまわないので、ひとつの季節やイベントを区切りに軽くまとめてみるだけでも印象は変わります。完璧に編集されていなくても、「その時の自分たちの等身大の姿が一本にまとまっている」というだけで、後から振り返ったときの支えになることがあると感じています。

Q12. 家族の記録として動画を残し続けることに、どんな意味や価値を感じていますか?

A. それ自体が直接お金になるわけでもなく、誰かに評価されるわけでもありませんが、「自分にとって大切なものを、きちんと形にして残しておく」という意味では、とても大きな価値があると感じています。時間が経つほど、細かな記憶は少しずつ曖昧になっていきますが、映像として残っていることで「あの時間は確かにここにあった」と静かに確認できる安心感があります。また、将来、自分が年齢を重ねたり、家族の形が変わったりしたときに、その映像が小さな支えになる場面がきっとあるだろうという感覚もあります。空き家管理の仕事で建物の時間を記録するのと同じように、家族の時間を丁寧に残しておくことも、今の自分にとっては大切な役割のひとつになっています。

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